2010年1月17日日曜日


 『忘却』監督のエディ・ホニグマンは、1951年ペルー共和国の首都リマにて、ホロコーストを逃れて移住してきたオーストリア人の父と、ポーランド人の母との間に生まれます。


 十代のエディは、リマの街にあった沢山のB級映画を上映する映画館や、実験映画を上映するアートハウスに通いつめる映画少女だったといいます。


 そして、リマの大学で生物学と文学を専攻した彼女は詩を書き始め、後にそれが彼女の作りだす映画世界の原点となります。


 ヴィスコンティの『揺れる大地』『ベニスに死す』、ドライヤーの『裁かるるジャンヌ』などの偉大な映画たちとの出逢いを経て、彼女は詩作をやめ、映画を学ぶために故郷リマを離れることを決意します。

 『黄金狂時代』の中で、ぼろぼろの靴を料理して食べるチャップリンのユーモアが、経済的困難を克服してローマの映画学校へゆく勇気をくれたと、彼女は語っています。


 現在に到るまで、精力的に様々な映画を、彼女は制作し続けていますが、それらはどれも幾つかの同じテーマのもとに展開されています。

 すなわち、「記憶の持つ力、生きるための不滅の意思、つまり、ささやかな幸せへの道筋としての芸術、文学、詩、そして音楽」です。


 彼女の愛するリマを舞台にした『忘却』、声無きものたちの声に、彼女は耳を澄ませるようにしてカメラをまわします。


 上映会まであと二日です。

0 件のコメント:

コメントを投稿